負ののれんの異質性【日商0.5級】

日商1.5級という謎の階級を作ったからには、0.5級も必然的に出来上がるわけで。日商簿記1級の受験者対象です。

1.5級記事負ののれんを書きましたが、0.5ではその理論というか雑談です。

負ののれんはパーチェス法における処理で、企業等を安く買えちゃったときに計上される特別利益ですよね。

ここで、会計処理というのはすべて『等価交換』を前提に処理が規定されていると考えるべきものです。つまり、”得るものの価値”と”払った価値”は同額であるべきなのです!これは企業結合や事業分離に限ったことではなくすべての事象がそうだと仮定して会計処理を施すべきです。

にもかかわらず、のれんや負ののれんのように、”得るものの価値”と”払った価値”の差額が計上されることがあります。

のれんはまぁOKでしょう。例えば吸収される企業の識別可能価値が100に対して、120で買収すると、のれんが20計上されます。この場合、実際には120の価値の企業を買ったと考えられ、識別できない20の価値(ブランド力とかノウハウとか)があるはずだ!としてのれん(資産)として計上されるわけです。これは『等価交換』の考えに沿ってるといえます。

負ののれんは変なやつ

一方、負ののれんはどうでしょう?例えば、吸収される企業の識別可能価値が100に対して、80で買収すると、負ののれんが20計上されます。

のれんの考えと同じようにマイナスのブランド価値があるからかもしれませんね(20だけ見えない負債がある)。顧客情報をバラまきまくるのが大好きな会社とか。しかし、このようなマイナスの識別不能価値がある企業を買収することは一般的ではないはずです。

そうではなく単にラッキーで安く買えただけかもしれません(バーゲン・パーチェス)。

このように負ののれんは、異常的に発生するものであり原因も特定しにくいわけです。発生原因がナゾな時点で負債として計上する要件を満たしていない!→異常な発生!→特別利益、と処理するわけです。

会計基準も変人扱いしちゃってます!

実際に負ののれんが発生しそうな場合、次のような手順をふみなさいと企業結合会計基準に書かれています。

  1. 取得企業は,すべての識別可能資産及び負債が把握されているか, また,それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直す。
  2. 1の見直しを行っても,なお取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回り,負ののれんが生じる場合には,当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理する。

こんな手順は他の会計処理ではほとんど見かけないでしょ!?

だって、「ホンマか!?負ののれんはおかしいってwwwもう一回ちゃんと計算してみ!計算間違ってるかもしれへん!」って会計基準が注意を促しているんだから。いかに負ののれんが異質なものかがうかがえます。

このように「のれん」と「負ののれん」の扱いが対照的でないのは、「負ののれん」が変人すぎるからだということです!

 

ちなみに昔の日本の会計基準では、負ののれんは負債計上され、のれんと同じく規則的な償却を行なっていたらしいです。

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