退職給付引当金と退職給付に係る負債の違い

退職給付引当金と退職給付に係る負債とは

この二つは同じようなものです。具体的には「退職給付引当金」は個別会計上のもの、「退職給付に係る負債」は連結会計上のものです。

中身自体も少し違います。個別上の退職給付引当金は未認識の差異等が含まれていますが、連結上ではすべて認識します。詳しくは書きませんが、未認識の差異を認識しオンバランスするためには包括利益計算書が必要なのですが、個別会計では包括利益計算書が存在しません。だからこのような違いが出てきてしまうのです。

なぜ引当金ではなくなったのか?

実は「退職給付に係る負債」というのはつい数年前に基準化された科目なんです。それまで15年近く「退職給付引当金」、それ以前は「退職給与引当金」と呼ばれていました。いずれにせよ”引当金”と呼ばれていたのに、急にこの”引当金”という言葉が消えました。(個別上ではまだ残っています)

引当金というのは次の4つの要件を満たすものと定義されています。

  1. 将来の特定の費用または損失
  2. 発生が当期以前の事象に起因
  3. 発生の可能性が高い
  4. 金額を合理的に見積もることができる

そして退職給付引当金というのはこの4つの要件を満たしていないのでは?ということで名称が変わったと考えられます。

退職給付債務は、従業員の将来の退職年金を見積もってその支払い額を計上するものですが、その従業員の退職までの昇給、出世も考慮して予想されるものです。

つまり、2つ目の要件である当期以前の事象以外も考慮されていることから引当金と呼んでいいのか?ということです。

また、退職給付は従業員の賃金の後払い的な性質があると明記されています。つまり本当は現在貰えるはずの給料が、退職後のために積み立てられているという性質です。ということは1つ目の要件である将来の特定の費用または損失ではなく、当期の費用を含んでいると考えられ、要件を満たしていません。この場合、”引当金”というより”未払費用”に近いですね。

このように退職給付の債務は、引当金と呼ぶには少し不都合があると言われています。そこで連結会計上では『退職給付に係る負債』と呼ぶことになったと考えていいでしょう。

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