資産除去債務について。多くの人は、資産除去債務についてイメージできていると思いますが、まずは基本から。

資産除去債務は、ある固定資産を利用していくと、汚物を巻き散らかす、その土地を汚染してしまうようなケースで、固定資産の利用期間が終了したときに汚物をキレイキレイする費用を固定資産購入時に負債として計上しないとッ!っていうヤツです。

このとき、将来の見積除去費用は現在まで割り引いて計上されます。

将来の見積除去費用

なぜ、割り引くのかというと、時間価値を考慮するからなんですが、単に日本人が、

「アメさん(メリケン野郎)の割り引くという考え超かっこいいじゃん!」
って憧れたから、とも言える。

両建処理と引当金処理のケンカ

資産除去債務の特殊な点は、これらのことではなく、将来の除去費用に関する資産負債を両建てすることですよね。つまり、割引汚物を固定資産取得時に次のように処理します。

借方 貸方
固定資産 101,000 現金 100,000
資産除去債務 1,000

このように資産除去債務と同額を固定資産の取得原価にプラスします。すごいハイブリッドな処理です。

でも汚物除去代は、あくまで将来の支出なんだから、引当金として処理すればいいんじゃね?何がハイブリッドじゃ!かっこつけんな!って思いませんか?これは昔の考え方です。

有名な論点ですが、引当金処理両建処理の口喧嘩があったみたい。

両「初めまして、引さん。私の方が相当にスマートかと。」

引「あぁぁん!?引っ込んどれ!ガキが!」

両「では、1つ1つ議論していきましょう。よろしいですか?」

引「お前誰やねん!今ゲームしてるねん!どっかいけ!」

両「フッ…まず、固定資産の利用に応じて除去費用がうまく費用配分されていますか?」

引「なんやねん!しつこいなぁ…できてるわ!繰入額を毎年計上するからな」

両建処理では、上の仕訳であったように固定資産の取得原価を引き上げることで、毎期の減価償却費の中に、除去費用が紛れ込む形になりますね。

つまり固定資産の使用に応じて除去費用がうまく費用化されていくので、費用収益対応の原則からも合理的といえます。一方、引当金処理も毎期末に費用と引当金を合理的に計上していくので、費用配分の点から言うと両建処理と同様です。

(ある期末の引当金処理の例)

借方 貸方
繰入額 100 汚物引当金 100

なぜ資産除去債務は両建処理なのか

両「なるほど。では負債計上額についてはいかかがですか?」

引「あぁぁん!?めんどくさいなぁお前。友達おらんやろ、お前!」

両「よろしい。では言い難いでしょうから私から言って差し上げましょう!引さんの処理では負債計上が不十分なのですよ!」

引「はぁ!?引当金として負債計上されていってるやろ?」

両「お気づきでない?私の処理では、将来の割引除去費用を全額取得時に負債計上する。一方、引さんの処理は、毎期少しずつ引当金が負債計上されていく。」

引「最終的には同額になるんやったら同じやろ?」

両「概念フレームワークをお読みでない?負債の定義に当てはまるにも関わらず、引当金では額が足りないのですよ…」

引「グヌヌ…..」

両建処理では、将来の除去費用を全額、はじめに負債計上します。一方、引当金処理では、毎期少しずつ負債が積み重ねられていく感じです。

両建処理

しかし、ここで負債の定義に照らし合わせてみると、

概念フレームワーク(負債)
負債とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡す義務、またはその同等物をいう

固定資産取得時に将来の除去費用は全額負債計上しないといけないことがわかります。資産除去債務の基準は、ある汚物を法令等で除去しなくてはいけないと定められている資産について適用します。

つまり、除去する義務が固定資産取得時に確定している=その義務は負債計上する

この点から言うと、引当金処理では、負債額が足りない。固定資産終了時にはじめて全額になりますから!

両「いかがですか。あなたの利点はわたしの利点でもあり、わたしの利点はあなたにはない!」

引「なんやねん!ジャイアンみたいなこと言いやがって!しょうもなッ!ゲームしよ!ゲームッ」

こうして、引当金処理は除去費用の世界でクビになり職を失った….

これで資産除去債務の両建処理がいかに合理的か理解していただけたでしょうか?有名なので知ってる人も多いでしょうが。

このように資産除去債務の処理の背景を、過去の良くなかった点とあわせて理解してもらいたかったので書いてみました。

計算問題としては、

  1. 普通の処理
  2. 見積除去費用が増加した場合
  3. 見積除去費用が減少した場合
  4. 見積除去費用が増加した後、減少した場合

の4種類を押さえておく必要がありますよ!

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