【工程別総合原価】最悪の組み合わせ
- 2014/7/3
- 簿記1級
- 総合原価計算
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工程別総合原価計算の組み合わせ
工程別総合原価計算で、累加法と非累加法というのがあります。これは、複数工程における原価をどのように集計するかという方法の分類です。一方、原価の配分方法には先入先出法(Fifo)と平均法(AM)があります。
これらのうち、理論的におかしい組み合わせがあるのはご存知ですか?
それは『累加法+先入先出法』と 『非累加法+平均法』、これらの組み合わせはどう考えても良くないんです。もしかするとこれらの組み合わせの工程別の計算問題を解いたことがあるって人いるかもしれないけど、”おかしい”ってことを伝えてあげて…
累加法と先入先出法
先入先出法(Fifo) では、次の重要な仮定が存在します。
- 月初仕掛品はすべて完成品になる
- 月末仕掛品はすべて当期投入単価で計算される
では 『累加法+先入先出法』 の勘定連絡図で単価の流れを見てみましょう。
赤色の矢印は月初仕掛品の単価の流れ、青色の矢印は当期投入の単価の流れ、前行程費は二つが混ざった紫色の矢印で表しています。
そして第2工程では、その紫の単価の矢印が完成品と第二工程月末仕掛品に振り分けられます。(100%ではありませんが、通常こうなります)
ここで矛盾が発生ッ!
第2工程月末仕掛品に第1工程月初仕掛品の単価が入ってしまう ため、上で書いた 『月末仕掛品はすべて当期投入単価で計算される』に大きく反則!
非累加法と平均法
こっちはもっと駄目な組み合わせです。
まず、 『非累加法+平均法』 の勘定連絡図をボックスで表すと次のようになります。
一目でわかりますが、 第1工程、第2工程の月初仕掛品と当月投入のすべての平均単価で、完成品および月末仕掛品が計算されます。
しかし 第1工程月末仕掛品に第2工程月初仕掛品の一部が混入しますよね? これは明らかに 変です。物理的にあり得ないデス…
だって 第1工程の月末仕掛品に、まだ物理的に到達していない無関係の第2工程月初仕掛品の単価が混入する なんて、時間軸歪みすぎ(笑)
つまり『非累加法+平均法』 の組み合わせは、 適切な原価計算のためにも、適切な原価管理のためにも、とんでもなく非合理 だと考えられます。
このように工業簿記・原価計算では、 非合理なものがいくつかあります。計算方法をマスターした上で、今一度このように根本的な理論に触れると、理解がうんと深まるんですねぇ。日商簿記1級まで受験している人には単に計算を解けるだけでなく、このような理解もしてほしいです。
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