今回は包括利益について。そもそも包括利益のことを知ってますか?? そこそこ新しい概念ですよね。

今までは、財務諸表といったら、B/S、P/L、S/S、C/Fの4つをイメージしてましたが、そこに新たに『包括利益計算書』が加わります。 (P/Lとの合体バージョンもありますが)

日商簿記1級でも、当然にこの包括利益計算書は出題範囲に含まれています。しかも、過去にちょっとだけしか出題されていないので、そろそろガッツリ出題されてもおかしくない!だから、しっかりマスターしておいた方がいいと思いますよ〜

包括利益の基本

P/Lの純利益とこの包括利益は、よく対比されます。 (概念フレームワークという学者達のオ●ニー作文にも書かれています)市販のテキストにも、小難しく解説されていますが、専門用語が多すぎッ!

なるべくテキトーな言葉で書くと、

包括利益 純資産がどれだけ増えたのかを表す利益(資本取引除く)
純利益 投資という恐怖から解放されたものが幾らかを表す利益

両者は結構似ているんですよね。だって”リスクから解放(投資という恐怖から解放された)”されると、 「繰越利益剰余金」となって、純資産を増加させますから!

つまり、包括利益と純利益の差は、恐怖から逃れていない部分も含むか否かです!(非支配株主は無視します)

この恐怖から逃れていない部分を『その他の包括利益』と言います。そのため包括利益計算書では、純利益(少数株主損益調整前当期純利益)に、その他包括利益を加減して包括利益を計算する形なんです。

こういうやつ
その他包括利益

ちなみにその他の包括利益に該当するものは、

  • その他有価証券評価差額金
  • 繰延ヘッジ損益
  • 為替換算調整勘定
  • 退職給付に係る調整額
  • 持分法の持分相当額

などが挙げられます。

組替調整?

あと、『組替調整』ってのが論点としてありますよね。上で、純利益と包括利益の違いはリスクから未解放の部分を含むか否かと書きましたが、厳密にはそれだけではありません!

次のような例を見てください。

その他包括利益

  • ×1年期首に、その他有価証券を200で購入
  • ×1年期末に、その半分(簿価100)を時価150で売却

すると、売却益が50(リスク解放①)、 その他有価証券評価差額金が50(リスク未解放②)となり、純利益50、包括利益100になりますよね。

  • 次に、×2年期中に、また有価証券を100で追加購入
  • ×2年期末に、元から持っていたものも含むすべてのその他有価証券(簿価200)を時価300で売却

すると、売却益が100(リスク解放②リスク解放③)、その他有価証券評価差額金が0となり、純利益が100、包括利益が50になります。

「えっ?おいおい、 包括利益は純利益にリスク未解放を加算したものじゃねーのか? 解放+未解放=包括利益じゃねーの?」

って思った人は、まあほとんどいないでしょうな、、

リスク解放②はすでに×1年度の包括利益に含まれていますし、×2年度には、純資産が50しか増えてませんから。。

つまり、この過年度のリスク未解放のうち、 当期に純利益に含まれたものを、調整するのが 組換調整です。

包括利益計算書では、純利益100ーその他包括利益(組換調整)50=包括利益50 と表示されます。

最後に、一番重要なことを!この包括利益計算書、 連結会計でしか登場しません。(個別F/Sでは出ない)なぜなら、個別財務諸表は配当や税金の計算の元に使われ、会社法や税法で厳しく定められているんですね。

そこに『包括利益』という得体の知れない新人が入ってくると、

「配当、税金の計算がめちゃくちゃになるやないかッ! アホッ!」

とバカなヤツがパニクったため、現在、個別では包括利益は採用されていません。

個別上の包括利益を取りあげているテキストをもっているなら、すぐにゴミ箱に投げ捨てましょう!

ちょっとわかりにくくてすいませんでした。

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