ワークシートで退職給付マスター

退職給付ワークシートの有用性

当サイトで紹介している計算テクニックの退職給付ワークシートですが、数ある簿記テクニックの中でもおそらくNo.1の有用性かと思います。使い方がよくわからない方は以下のリンクで確認してみてください。

  1. ワークシート基本バージョン
  2. 数理計算上の差異を当期から処理バージョン
  3. 当期首に過去勤務差異発生バージョン

3つの方法を紹介していますが、使い方がたくさんあるのではなく、基本的な考えを理解すればどんな問題にも対応できるようになります。例えば会計基準変更時差異がある場合や、数理計算上の差異の定率法費用処理など全てのパターンに対応可能です。

ところでこのワークシートは特別なテクニックってわけじゃないんです。実は会計基準の適用指針等の説例で使われています。つまりカリスマ予備校講師とかが考えたのではなく、「こうやって計算してね」って基準作成団体がはじめから公表していた公式の解き方なんです。

それなのにワークシートのことを書いていない市販の簿記テキストが多いことにはびっくりです。なぜかボックス図(T勘定)で解くやり方をすすめているのが多い。理由はわかりませんが…

ワークシートとボックス図どっちが良い?

この論争はよくなされます。解ければどっちでもいいのは言うまでもないのですが、これから退職給付を勉強し始める人に対しては、ワークシートのほうをオススメします。なぜなら、ワークシートは現金預金の減少も表から読み取れる(ボックス図でも可能だが工夫が必要)からです。さらに、会計士試験などでたまにありますが、ワークシートの数値を埋めさせる問題があるからです。日商簿記1級でもこのような出題がされないとは言い切れませんよね?

ボックス図の利点は一つもありません。ボックス図でできることはワークシートでもできる。あえて一つだけ利点を挙げるとしたらボックス図解法はワークシートより勘定の動きに主眼をおいているので、より理解につながるかもしれないということです。ワークシートはかなり機械的な計算方法ですから。

いずれにせよ、退職給付が苦手な人はぜひワークシートをマスターしてください。これは公式の解き方ですよ!

なお、連結会計上の退職給付はワークシートで解くものではありません。あくまで個別会計上の退職給付で使用することに注意してください。

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コメント

    • ジョーニー
    • 2014年 7月 21日

    初めまして。退職給付会計のワークシート解法を拝見し
    とても実用的なので試験で実践していきたいと思います。

    ところで質問なのですが、過去勤務費用の期首に改訂のある問題では
    実際前期末の退職給付債務に改訂額を足し込んで計算するように書いてありますよね?
    しかし私の持っている大原の税理士簿記論2012のテキストで類題を解くと
    ここに過去勤務費用を足すと計算が合致しなくなってしまいます。

    それで、実際前期末の最初の部分だけ改訂額を考慮せず、それ以降の欄に改訂した金額の要素を勘案して
    解いていくと金額は一致しました。
    正直、過去勤務費用の改訂がある際にワークシート解法で上手く解けるかだけが不安な状態です。
    なぜこのようなことが起きたのでしょうか?

    もしかすると問題自体の解答額等に誤植があったか、それともこの2年のあいだに法律が変わって
    そのためCloud簿記のテクニックにある方法とズレが起きているのか、
    このへんがどうなのか私には判断できませんorz
    ご解説よろしくお願いします。

    • ジョーニー
    • 2014年 7月 21日

    すみません、言葉で伝えるより問題を見てもらって確認していただいた方が良いと思ったので該当問題貼ります

    「改訂」の際の対処について、ご確認お願いします。

    http://i.imgur.com/d8DRCHT.png
    http://i.imgur.com/bJYzG0z.png

    • その点については専門学校によって計算方法が異なっていると過去に耳にしたことがありますが、深く考慮していませんでした。
      いくつかの専門学校のテキストには、確かに当サイトで紹介している計算方法と同じものが記載されています。
      しかし大原ともあろう学校のテキストで異なる方法が記載されているのは気になります。「どちらかが間違っている」か、基準が明確でないため「様々な解釈ができるので専門学校によって異なる」のどちらかかと思います。早急に調べて答えを出してこのコメント欄に記載致します。
      貴重なご指摘ありがとうございます!

    • ジョーニー
    • 2014年 7月 22日

    あそ~んさん。
    お返事ありがとうございます。
    .
    お忙しいと思いますので念のため補足しますと
    大原解答に合わせて作ったワークシート解法だと、
    期首退職給付債務に(58,000)をすると計算が合わなくなるのでそちらは無視し、
    予想当期末を出すところで(58,000)を内包しシートを作っていき年金資産と合わせて
    数理計算上の差異が82,000になるので10年償却で(8,200)を退職給付費用に与えると解答が合います。
    ((5,800)も退職給付費用の算定には入れてあります)
    しかし、期首改訂の頭から退職給付債務を変えるとどうしても計算が合わなくなるようです。
    .
    簿記の問題は法改正等で解答が変わることも多々あると聞いているため
    この2年のうちに計算部分に相違が出ているのかもと思い、有識者の方にお伺いして
    教えていただこうと思いましたが今回のはそういうことではなかったのですね。
    .
    こんな一個人の疑問に調べてご回答くださるということで、すみません。
    よろしくお願いいたします。

    • 一応、調べてみたので書いておきます。かなり長いし難解かもしれません。結論は最後の方に書いています。

      ・期首に改訂した額を退職給付債務に反映して利息費用を計算→A法
      ・期首に改訂した額を退職給付債務に反映せずに利息費用を計算→B法

      今のところジョーニーさんのテキストでのB法が載っているテキストは他にありません。私が調べた他の大手予備校テキストはA法によっています。またある監査法人の考えは、実務的にもA法によるべきだと書かれています。
      以下は関係している基準の引用です。

      〔基準〕
      9. 「利息費用」とは、割引計算により算定された期首時点における退職給付債務について、期末までの時の経過により発生する計算上の利息をいう。
      21. 利息費用は、期首の退職給付債務に割引率を乗じて計算する。
      〔適用指針〕
      16. 利息費用は、期首の退職給付債務に割引率を乗じて計算することを原則とするが、期中に退職給付債務の重要な変動があった場合には、これを反映させる。

      この基準の文言から論理的にも形式的にもA法が正しいと考えます。理由は以下の3点
      ・「期首時点で退職給付改訂され過去勤務費用発生」というのが、基準21項の期首の退職給付債務に影響しないというのは理解しがたい。
      ・時の経過による利息ということは発生時点から利息を計算すべき。
      ・当期の勤務費用は”退職給付改訂後”の計算額のはずなのに、利息費用だけはそうしないというのは整合していない。

      おそらくB法のロジックは、次の通りかと思います。
      ・仮に期首の翌日に”改訂”があった場合は、基準21の文言通り計算すると過去勤務費用は利息費用の計算で無視することになるが、「期首時点で退職給付改訂され過去勤務費用発生」とは、いわゆる『期首日』の期中処理であって前期末から繰り越されたわけではない。だから過去勤務費用は期首退職給付債務に入らない。

      受験上は会計基準がある意味、神様であり、会計基準の読み方によってB法もアリととれるかもしれないし、実際にA法かB法か確実に明記されていないのでその大原のテキストが間違っているかどうかは断言できません。
      しかし個人的にはA法が正しいと考えますし、私なら本試験でもA法で回答します。
      B法が正しいとする理屈は上記以外思いつきません。大原に聞いてみるしかないですね。

      あとこれは非常に重要なことですが、そのテキストの問題は現行の基準ではありません。問題冒頭で「退職給付に係る〜」とありますが、現在は「退職給付に関する〜」です。また「期待運用収益率」ではなく「長期期待運用収益率」、「過去勤務債務」ではなく「過去勤務費用」です。2012年の時点で現行の基準が公表されていましたが、テキスト上は対応していなかったみたいですね。(試験上はまだ影響していなかった?)
      とにかく退職給付はいろいろ改正されているので気をつけた方がいいと思います。

    • ジョーニー
    • 2014年 7月 23日

    あそ~んさん。
    ご丁寧にご解説いただきましてありがとうございました。
    実務的観点や基準等をふまえてより詳しくお教えいただけて
    よく理解できました。

    こちらの問題の解答のB法解釈が特殊な例外だったのだと認識することにして
    今後同類のものが出たらA法の期首改定反映の方法で解いていきたいと思います。

    また、現行基準との変更点についても加味して重ねてお教えいただきましてありがとうございました。
    やはり教材が古いままだと法改正等に対応できなくなってしまう点もあるので
    今後は別の教材等でアップデートをする機会も設けたいと思います。

    本当にありがとうございました!

    • ジョーニー
    • 2014年 7月 24日

    度々すみません。
    先日の大原の同問題集の2014年版を入手し、解答確認しました。
    なんと正誤表が付属し、期首改訂の計算部分は正しくはこうですと言ったような
    正しい処理が記載されており、解答は訂正されていました。
    それに従いCloud簿記で掲載されているワークシート解法の過去勤務費用 期首改訂の
    手順通りに沿って解くと回答も簡単に一致しました!
     
    ワークシート解法はホントに素晴らしいものです!
     
    これまで散々お騒がせしてしまいまして、本当に申し訳ございませんでした。
     
    あそ~んさんには本来の正しい解答について、いち早くその根拠と基準について
    明確に答えて教えていただけましたので本当に感謝しております。
    私も将来あそ~んさんのような会計人になれるようこれから勉強を頑張っていきたいと思います。
    ありがとうございました。

    • 解決できてよかったです。ぜひワークシートをマスターしてみてください!
      ちなみにこの問題に関しては、私だけでなく複数人の意見を勘案して回答させていただいたので、私が凄いわけではありませんよw
      一応、当サイトは数名でやってますので。

      なお、このコメント欄よりは当サイトの掲示板のほうが書き込みやすいかと思うので、そちらでいつでもどんな質問でも待ってます!
      質問を受け始めて、約1年半はたつのですが会計論点の解決率は100%です!(多分w)

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