今回はデリバティブのうちスワップ取引をやります。スワップ取引のうち、基本的なものとして「金利スワップ」というのがある。

これは変動金利と固定金利をスワップ(交換)する取引ですが、取引の内容を理解するのは結構難しいやつ。一般的に簿記の問題では、ヘッジ会計として出題されることが多いです。

金利スワップの例

例えば次の問題を見て欲しい。

  • おっさんは、期首に変動金利の借入金1,000円を期間3年で借入れ、同時に以下のスワップ契約を締結した。
  • 変動金利を受け取り、3%の固定金利を支払う。
  • 金利の交換日は期末。
  • 期末の変動金利は4%であった。また、期末のスワップ取引から生じる正味の債権の時価は9円であった。

仕訳は次のようになります。

①借入の仕訳

借方 貸方
現金預金 1,000 長期借入金 1,000

②スワップ締結に係る仕訳

借方 貸方
仕訳なし

③期末の仕訳
1.借入先に対する金利の支払

借方 貸方
支払利息 40 現金預金 40

2.スワップの仕訳

借方 貸方
現金預金 10 支払利息 10

3.スワップの正味の債権の時価

借方 貸方
金利スワップ 9 金利スワップ評価損益 9

基本ですが、一つ一つ確認します。

①は普通の借入の仕訳です。②は後回し。

次の③の1.と2.ですが、実際に借入先に40の金利を支払い、スワップ契約相手から10の金利差額を受け取ったという状況の仕訳です。

つまり、この借入金の金利支払をスワップ取引により、固定金利3%とすることができたという仕訳です。

スワップ取引

なんか、これだけで借入とスワップの処理が完結しているみたいに感じませんか?でも、②や特に③の3.のようなものが出てくる….

正味の債権債務

③の3.の資産「金利スワップ」は、先物取引で出てくる正味の債権の時価と同様のものです!これを理解するために、概念フレームワークの資産と負債の定義から考えます。

資産とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源をいう

負債とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡す義務、またはその同等物をいう

おっさんは期末において、あと2回の金利スワップが行われる状態ですよね。しかも契約によって決まっている。

このとき、将来固定金利を支払う義務があるといえるので(負債)の定義にあてはまります。また、将来、変動金利を受け取る権利を支配しているといえるので、(資産)の定義にあてはまります

つまり、このスワップ取引から資産、負債の両方が発生し、それらは当期末に計上しなくてはいけません!

少し難しいのですが、それらの資産負債は次のように割引現在価値で求めます。ここで、将来の推定変動金利の額と固定金利3%の割引現在価値に差がある場合、純額で資産か負債になるでしょッ!!?

スワップ正味の債権

これが正味の債権の時価9円の正体だッ!!

つまり将来のスワップによる影響額を時価評価して計上している。

めんどくせぇよな….こんなの計上するなんて。(通常問題では時価は与えられています)

ちなみに②で「仕訳なし」になるのは、このときスワップに係る資産と負債が同額で差が無いからなんです。だって将来の金利支払の現在価値と、金利受取の現在価値が同じじゃないと、契約が成立しないからね。(等価交換じゃないと取引は発生しないと仮定)

ちなみに、スワップ契約終了時には、この資産負債は両方ともゼロになります。

じゃあ初めから計上しなければいいんじゃないのかって?

だから基準上も、ヘッジ目的で条件を満たせば、「金利スワップを時価計上しない」という特例処理があります

どうですか?スワップ取引についてちょっとは理解を深めてもらえたでしょうか?デリバティブは、正味の債権債務の時価が理解しにくいんですよ。

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コメント

    • 通りすがり
    • 2014年 12月 01日

    例題のおじさんが変動金利も固定金利も受け取っていますよ。

    • 山本
    • 2015年 3月 30日

    スワップ締結日に将来の金利支払いと金利受け取りの現在価値が等しいということは固定金利と変動金利が等しいのかな。

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